京都・鷹ヶ峰に今秋オープンした ROKU KYOTO, LXR Hotels&Resorts にて、

館内アートワークのコンサルティングを担当致しました。

 

 

CONCEPT

 

現代アートと伝統工芸が織りなす大自然の世界観

琳派発祥の地に完成したROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts。

漆・竹・織・染・陶など、京都で培われた伝統工芸の作品を

アライバルエリア、レストラン、スパ、そしてすべての客室廊下に展示しております。

光と風、静寂、生命の息吹を感じるアート&クラフトの数々。

ROKU KYOTOからのメッセージをどうぞ五感でお楽しみください。

RECEPTION

 

豊かな自然を映す、漆の美

雲、稲妻、水平線の輝き、水面の揺らぎ。天と地が魅せる大自然の美を漆の技法で表現した作品を展示しています。正面奥の壁を彩るのは、さまざまな色や質感の漆をかけた木製ブロックを、地層のように積み重ねた大型アート。中央には、琳派絵画で最も有名な作品の一つである「風神雷神図屏風」を表現した作品を展開しています。自然現象を擬人化した「風神雷神図屏風」を描いた俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一という琳派の巨匠たちが、現代で新たな表現をするならば、どう描くのだろうと想像を膨らませて生まれた作品です。漆特有の艶が土と重なり合い、重厚感のある輝きを放つ、陶芸家・安斎賢太の陶芸作品も彩りを添えます。静寂のなか、心を解き放ちリセットする滞在を楽しんでいただきたいという願いを込めました。

漆芸/  表望堂

陶芸/  安斎賢太

TEA HOUSE

 

水と光の揺らぎを楽しむ

水盤に面したソファスペースには、風に揺れる水面を表現したアートパネルを。艶のある漆が折々にうつろう光と庭園の木々の緑を映し込み、外と内をゆるやかに繋げています。刻々と変わるその表情を一服のお茶とともに楽しみながら、ゆったりとした時間をお過ごしいただけます。陶芸作家による表情豊かな花器も見どころです。四季の草花とともにお楽しみください。

漆芸/  表望堂

陶芸/  大森健司

TENJIN

 

空間に軽やかに溶け込む、竹材の美

一歩足を踏み入れるとまず目に入るのは、中央に飾られた大型の竹のアート。京都で育った真竹を熱して自在に曲げる伝統技法で、竹特有の力強さとしなやかさを表現しています。客席背後に並ぶのは、網籠のようなオブジェ。竹の節が揃うように一本一本選び、組み立てる繊細な職人技が光ります。竹そのものがもつ造形美を存分に生かしたアートの競演です。

竹工芸/  竹又 中川竹材店

GUESTROOM CORRIDOR

 

京唐紙のメッセージ

客室の廊下には、江戸時代から受け継がれてきた京唐紙の伝統的文様を用いたアートワークが並びます。各棟のテーマは、自然をモチーフに「雲」「波」「草」「花」、そして風やエネルギーなど「目に見えないもの」。4つの文様を彫り入れた版木で構成されたパネルは、それぞれの文様の意味とストーリーを内在。一つ一つ異なる表情をもち、異なるメッセージを語りかけます。ROKU KYOTOオリジナル文様の唐紙で仕立てたアートパネルも見どころです。この文様は、縁起が良いとされる「八」角形をベースとし、現代の感覚に寄り添い、どのような空間にも溶け込むよう、幾何学的でモダンなデザインに仕上げました。

京唐紙/  株式会社丸二

CORRIDOR

 

陶と木材が織りなす再生の美

緑豊かな庭園に面して設置されているセラミックアートは、陶芸作家・竹内絋三の代表作「modern remains」シリーズ。断面が連続する特徴的な造形にホテル敷地内で発生した廃材を融合し、特別に制作されました。

セラミックアート/  竹内紘三

THE ROKU SPA  FIRST FLOOR

 

時間と対峙する、石と陶の美

イサム・ノグチがこよなく愛した宮城県大倉山伊達冠石。自然味溢れるごつごつとした面と、まるで落雷で切り割られたかのような面。錆のような色から、黒に近い鉱石色までのグラデーション。一つの石がもつ豊かな表情は、長い年月をかけて大自然が創り上げた造形美です。同エリアでは、石庭のほか、冠石と敷地内で発生した廃材を組み合わせた陶芸作家・竹内絋三の作品も展示。「多様性」、「共存」、そして「再生」のメッセージが込められています。

セラミックアート/  竹内紘三

石庭/  大蔵山スタジオ株式会社

THE ROKU SPA  BASEMENT FLOOR

 

深い休息をもたらす、静寂の美

冠石による石庭をはじめ、多彩な作品が静かに点在しています。エレベーターホールでは、伝統的な京鹿の子絞りの技法で深海から湧き上がる泡が水面の光に合流する様子を表現したアートパネルがお出迎え。トリートメントルームに向かう廊下では、呂色に仕上げたパネルに虹色に輝く貝で幾何学模様を表現したコンテンポラリーな美しさをたたえる螺鈿アートパネルをお楽しみいただけます。そして各トリートメントルームでは陶芸作品が静かに佇み、深い休息のひと時を彩ります。

石庭/  大蔵山スタジオ株式会社

西陣織/  渡文株式会社

京鹿の子絞/  株式会社京都絞美京

螺鈿/  嵯峩螺鈿野村

SPA CORRIDOR

 

織り上げられた禅の美

京を代表する伝統技術、西陣織。日が上り沈むまでの枯山水庭園をモチーフにしたアートパネルです。禅寺での瞑想中、ゆっくりとたおやかに流れる時間を、織りで表現しています。

西陣織/  渡文株式会社

SUITE

 

西陣織の新たな表情

京都が誇る伝統工芸、西陣織の作品がスイートルームの室内を彩ります。アートパネルは新月が照らす水面の細波をモチーフに、部屋の窓から見える水盤を再現しています。ベッドヘッドパネルは、太さの異なる白糸と金糸で水面に浮かぶ陰影を表現しています。

西陣織/  渡文株式会社

GARDEN DELUXE

 

錫と陶、質感の美

夜空に浮かぶ月をモチーフにした、バスルーム壁面の錫のオブジェ。お風呂で体を温めながらお月見を楽しんでいただけます。室内壁面には、夜空と呼応する大地の表情をとらえた陶のオブジェを。土がもつ多彩な色と質感を、各部屋ごとにお楽しみいただけます。

金属工芸/  清課堂

セラミックアート/  竹内紘三

POOLSIDE DELUXE

 

大地の記憶を宿す陶器

サーマルプールに直接アクセスできる「プールサイドデラックス」の客室を彩るのは、幾種類もの土を混ぜ合わせて焼き上げる陶芸家・大森健司の作品。土の質感が際立ち、苔むした自然の岩のような表情を見せています。一つの作品のなかにさまざまな質感が響き合いながら共存しています。

陶芸/  大森健司

ACCESSORY

 

進化する伝統工芸

各エリアおよび客室の飾り棚では、京都の伝統工芸に携わる職人たちによる作品をご覧いただけます。京都で発展した茶の湯と深く結びつきのある竹工芸をはじめ、江戸時代から受け継がれる型枠で作られた伏見人形、木材と金属を組み合わせる仏具製作の職人が試みた酒器、国宝級の美術品修復などを手がける表具師がその技術を生かしたジュエリーボックス。そして陶器は、50年以上もの間、京都・五条坂の登り窯の内で眠っていた「発掘」作品から、これまでになかった色合いや質感の釉薬を求め、新しい清水焼の可能性に挑戦した作品まで、京焼の歴史と現代が共存しています。どうぞ、伝統工芸という枠にとどまらない、多様な魅力を放つ作品群をお楽しみください。

清水焼/  有限会社洸春陶苑

清水焼/  藤平陶芸有限会社

漆器/  ユーエンアート株式会社

京表具/  弘誠堂

伏見人形/  有限会社丹嘉